2013年2月16日土曜日

クセナキス氏の『風の中の藁』

人が他の人に本当に伝えたいことを伝えるためには、この筆記文のように多くの言葉を費やす必要はないかも知れません。

ここに伝えたいこと と 伝える筆記文 とが対立するのですが、これは任意の対立です。

なぜならば、伝えたいこと と 伝える音楽 とについて対象化しているのですから。

文はなくても良いのです。

二項対立の音楽における現況は、ベートーヴェンのチェロ・ピアノソナタや、ブラームスのヴァイオリン・ピアノソナタによっても明らかなように、調和と同時に双方それぞれの、極論すれば勝手な意思表示のモチーフによって成立します。

これをクセナキス氏は、より精確に、調和及び双方の意志表示をすべて相対化します。

依存していて依存していません。

けれんみのないところに、His Last Bow があります。

音の素型の対置ですね。