2013年6月9日日曜日

ヴィゴツキーの軛

ヴィゴツキーには、活動に対する制約が幾つかありました。
そのうちの一つは、彼が真理の追究者であったのに対し、当時の学問の世界、社会、政府は、これら三者それぞれにとって必要な価値基準にかなう研究内容しか流通することを認めようとしなかったことです。

いま彼の没後80年近くたって、この歴史的制約は一切存在しません。

それで?

この四半世紀のあいだ、わたしは、わたしたちにとって必要な対象が、今は存在しない彼の視野の延長上に切り開かれることを前提に、さまざまな領域にわたる数多くの対象の点検を積み重ねてきました。

とても充実していたと思います。

大抵の場合、追究の対象とその対象の分析から導き出されるなにものかは、時系列にそってあとからやってきます。

しかし、世間の時の流れとは相違して、先に、その対象の分析から導き出されるべきなにものかが、その形姿をあらわすことがありました。

ここがヴィゴツキアンにとっての独特の現象です。