2012年3月11日日曜日

ブラック・スワン

映像は常に音楽とともにある。

それはロシアの音だ。

チャイコフスキーの音が白鳥の退場を以て終結する所を、その退場の意味を少し増幅して精神の運動の努力が「ここ」から「どこか」へと出て行く様を映像上の退場としたのだ。

ささっとくくって説けば、そういう風に逃げた。

したがって非常に低劣な動機であるのに、バレリーナの精神崩壊の表現が身体運動と表情しかも美しい表情との二段構えで成立するので、一発逆転、見事なエンディングとなっている。

俗なのに美しい。信じられない展開であると思う。