2014年8月3日日曜日

子どもの自己中心的言語

ピアジェの命名した子どもの「自己中心的言語」の重要性はすでに児童心理学の世界で十分に認識されています。

これはいずれ内言へと変化する発達段階の一過程および一様態を形成するものですが、音の学習に関してはまだ解明されていないことを課題として残しています。

音を演奏するという行為は、内に向かって考え続ける過程と、外に向かって他人に聞かせるために働きかける過程と双方を含んでいます。

そもそも教師が子どもにある指示を与えて子どもが指示に従った振る舞いをすることが可能になった瞬間に、子どもは次のステップに向けての成長を始めるので、そこでは内化される過程が存在するだけではなく、内言に似た世界の中で価値が独り歩きを始めるのです。音によって表現可能な領域が広がります。

あるいはこうです。通常の言語に関しては、外言→自己中心的言語→内言の過程を把握していれば言語発達の過程についてはある程度の議論ができます。しかし、音についての認識は、言語の外に音という実体化したモノを併存させているために、演奏者一般は、この言語と音との相互補完の現実を意識しなければ対象化できません。音だけで「考える」ことができますしね。

言語における認識や表現とは異なる音における認識あるいは表現があるのであって、音があるときには外言に相当し、あるときには自己中心的言語に相当し、あるときには内言に相当して、それらの間にある境界は言語の場合に比べて不分明です。

さて、自己中心的言語に相当する音とは?