2011年12月27日火曜日

日本語とドイツ語と

まず高橋悠治氏の『カフカノート』について。

病に倒れ死に瀕するにいたったカフカのことばに、その比較的注目されてこなかったことばの断片に、作曲者が音を付しつつ、考察を積み重ねていく。

カフカ自身の作品では、例えば『変身』では、虫に変形したザムザの行く手をはばんだのは、ヴァイオリンの音だった。しかし、高橋氏はむしろ音を作家の心底に寄り添わせることによって、言葉自体がその行方を指し示し、進もうとしたであろう可能性を、音の次元において開いて行くのだ。